ごえんをつなぐコラム

【企業】テーマ5:変革の必要性を認識できない理由

DATE26.09.03

皆様、こんにちは。資格の学校TACで、企業経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(担当:企業経営・生産管理)をしている、中小企業診断士の三枝元です。

組織の変革を行うためには、まずは変革の必要性を認識する必要があります。しかしながら、それを阻害する代表的なものとして、「ゆでがえる現象」「有能性の罠」があります。

ゆでがえる現象とは?

ゆでがえる現象とは、環境の変化がゆっくり進むと危険に気づかず対応が遅れることを指す比喩です。熱湯にカエルを入れると跳び出すが、水から徐々に温めると逃げないという寓話に由来します。組織では、コスト削減による品質低下、規律の緩み、市場競争力の衰えなどが少しずつ進むと、問題が日常化して警戒心が麻痺することを意味します。

ゆでがえる現象への対処法

ゆでがえる現象は、変化に気づかないことが原因ですから、変化に気づくための仕組みづくりが有効です。たとえば、既存顧客のリピート率が徐々に下がっているようであれば、そのデータをグラフ化して組織全員が見られる状態にしておくことで、変化に気づきやすくなり、危機感を持ちやすくなります。

有能性の罠とは?

「有能性の罠(有能さの罠)」とは、過去の成功体験や既存のやり方に固執し、新しい方法を模索しなくなることで環境の変化に適応できなくなることを言います。

組織が、現在の組織能力で一定程度の成果を出せるため、より優れた新しい方法への移行(組織学習)を怠り、環境変化に遅れる現象をコンピテンシートラップと言いますが、両者は本質的には同じものと考えていいと思います。

有能性の罠への対処法

有能性の罠の場合は、リソース配分を既存の方法だけでなく、一定割合を新たな方法の探索にも配分することをルール化することが有効です。

組織の学習行動には、問題解決型探索スラック探索があります。

問題解決型探索とは、既に発生している問題に対し、その解決を図るために行う探索・改善活動のことです。一方、スラック探索とは、組織のリソースに余裕(スラック)がある場合に行われる新しい事業機会や技術の探索活動のことです。

新しいことを試すには余裕が必要であることから、このような名称になっています。既存の方法に磨きをかけることは概ね問題解決型探索に当たり、新たな方法を探索することはスラック探索に当たります。「両利きの経営」の「知識の深耕」と「知識の探索」とほぼ似たような概念です。

スラック探索をルール化した例としては、以下のようなものがあります。

・3Mでは、15%ルールというものがあります。これは、技術職の社員は、就業時間の15%を「自分が興味のある、会社の公式プロジェクト以外の研究」に自由に使ってよいというものです。グーグルでは20%ルールというものがあります。

・GEでは、「密造酒づくり」と呼ばれるものがあります。これは、会社に内緒で(あるいは公式な許可を得ずに)業務の合間や予算の余りを使って行う、エンジニアたちの非公式な研究開発活動のことです。ただし、GEの経営陣は、「密造酒づくり」を公式に認めているわけではなく、黙認(成果が出るなら見逃す)という姿勢のようです。

・GEやインテルなどでは、「コア事業70%:隣接事業20%:新規事業10%」という投資やリソースの配分ルールがあります。

新たな知識を得たり、新たな方法を探索したりすることは、我々ビジネスパーソンにとっても必要なことですが、実際には目先のやることに没頭してしまいがちです。

「〇曜日の〇時から〇時までは勉強に費やす」「アイデア提案を自分にノルマ化する」といったことを試してみるのもいいかもしれません。

 

企業経営アドバイザー検定試験講座講師
三枝 元

 

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