【年金】「扶養の範囲内で働く」は変わる? 第3号被保険者と2026年10月からの制度改正
DATE26.08.10
こんにちは。ファイナンシャルプランナーの横川由理です。ご相談を受けていると「扶養の範囲内で働きたいので、年収は○○万円以内に抑えています」という声をよく耳にします。
今回は2026年10月からの社会保険の加入についてです。
「扶養に入っているから健康保険や年金の保険料は払わなくてよい」ということはご存じでも、なぜ払わなくてよいのか、どのような仕組みなのかまで理解している方は意外に多くありません。しかし、社会保険制度を理解しておくことは、これからの働き方を考えるうえでとても重要になります。
とくに、2026年10月から短時間労働者の社会保険への加入要件が見直される予定であり、「扶養の範囲内」という考え方にも少しずつ変化が生まれます。
第3号被保険者とはどんな制度?
日本の公的年金では、加入者を3つに分けています。
• 第1号被保険者…自営業者、学生、無職の方など
• 第2号被保険者…会社員、公務員、パートなど
• 第3号被保険者…第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者
第3号被保険者の大きな特徴は、国民年金の保険料を納めなくても、保険料を納めたものとして、65歳から老齢基礎年金を受け取れること。
たとえば、自営業の方であれば、1ヶ月あたり1万7,920円の国民年金保険料を納める必要があります。しかし、第3号被保険者は本人が保険料を負担しなくても、老齢基礎年金を受け取る権利を得ることができます。そのため、専業主婦(夫)や扶養内で働く方にとって、大きなメリットのある制度といえるでしょう。
「扶養の範囲内で働く」という言葉は、健康保険・年金、税金など複数の制度が混在して使われています。中でも、多くの方が気にしているのが健康保険と年金の扶養だと思います。健康保険と年金は、セットで加入する制度で、年収等の要件は共通です。
2026年10月から何が変わる?
これまで、多くのパート勤務の方は「社会保険に加入しない範囲」で働くことを意識してきました。しかし、この考え方が少しずつ変わろうとしています。現在、パートなど短時間労働者が厚生年金保険や健康保険に加入するためには、いくつかの条件があります。
2026年10月から、「106万円の壁」として知られた賃金要件が撤廃される予定となっており、2027年以降は企業規模の要件も段階的に縮小されます。社会保険の適用対象となる方は、今後ますます広がる見込みです。
社会保険に加入すると損なのでしょうか?
「手取りが減るから損」 このように考える方も少なくありません。
確かに、社会保険に加入すると保険料を負担するため、短期的には手取りが減ります。
しかし、その一方で、
• 老齢厚生年金が上乗せされる
• 障害厚生年金の保障が受けられる
• 遺族厚生年金の対象になる
• 健康保険の傷病手当金や出産手当金などの給付を受けられる場合がある
など、公的保障が大きく充実します。公的保障の内容を理解しないまま民間の保険に加入すると、必要以上に加入してしまう可能性があります。公的保障で不足する部分を補う、これが民間の保険の役割です。
このように「負担が増える」という面だけを見るのではなく、「受けられる保障が増える」という視点を持つことも大切となります。
働く時間を増やすのか、扶養内で働き続けるのか、それとも社会保険に加入して将来の年金を増やすのか。どのような選択をするかは、ご家庭の状況やライフプランによって異なります。
年金や健康保険制度は、時代に合わせて少しずつ見直されています。制度を正しく理解することが、ライフプランを立てること、すなわち老後資金や働き方や保険選びにも役立つことでしょう。
ファイナンシャルプランナー
横川 由理