【相続】取得した遺産を寄附すれば、相続税はかからない
DATE25.11.25
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。
今回のテーマは、「取得した遺産の寄附」です。
取得した遺産を寄附すれば…
取得した遺産を寄附すれば、その遺産は相続税の対象とはなりません。
つまり、相続税はかからないのです(非課税)。ですので、とくに相続税率の高い人などは、「多額の相続税を支払うなら、その代わりに寄附をして、社会の役に立ちたい(喜んでもらいたい)」と思う人は少なくないかもしれません。
しかし、とにかく寄附をすれば、無条件に、その遺産が相続税の対象から外れるわけではありません。
相続税の対象から外れるためには、以下の条件があるので、注意が必要です。
①相続や遺贈(遺言による財産の取得)によって取得した財産であること
なお、みなし相続遺贈財産とされる生命保険金や死亡退職手当金も対象となります。
②相続税の申告期限までに寄附をすること
なお、相続税の申告期限は、相続の開始を知った日(一般には、被相続人の死亡日)の翌日から10ヵ月以内です。いざ相続が発生すれば、諸々の手続き等に忙殺されて、時間はアッという間に過ぎることでしょう。
そして、この寄附の手続きだけにかかりっきりになることは難しいでしょうから、事前にしっかりと準備しておきたいものです。
③特定の寄附先への寄附であること
寄附先は、国や地方公共団体、特定の公益法人等でなければいけません。特定の公益法人等とは、独立行政法人、国立大学法人、日本赤十字社、社会福祉法人、認定NPO法人などが挙げられます。
ただし、(当たり前ですが)寄附した人やその親族等が、その寄附先から特別の利益を受けているような場合には、相続税の非課税は認められません。
④遺産は現金化せずに、そのまま寄附すること。
たとえば、遺産が土地の場合、寄附先によっては、「土地をそのまま寄附されても・・・」と難色を示すことや、「寄附は、現金のみでしか受け付けていません」と掲げているところもあるでしょう。
しかし、だからといって、遺産である土地を売って、現金にしてから寄附することはできません。
その場合は、非課税の対象外となってしまうのです。
前述の①~③と比べ、これは見落としがちな条件なので、気を付けたいところです。
寄附の効果は、相続税の支払いを減らすのみ
今回紹介した「遺産の寄附」の効果は、「相続税の支払いを減らす」です。
ですので、とにかく相続税を支払いたくないという人(とくに冒頭のように、相続税を支払うなら、その代わりに寄附をして、社会の役に立ちたいと思うような人)には大いに有効でしょう。
寄附した遺産は、そのすべてがゴッソリと相続税の課税対象から外れるわけですから、その効果は大きいです。
しかし、遺産の寄附には、「手元に残る遺産を増やす」という効果は見込めません。なぜなら、寄附した遺産
は、(当たり前ですが)そのすべてがゴッソリと寄附先にいくので、まったく手元には残らないからです。
ですので、相続税の支払いを減らしつつ、取得した遺産は手元に残したままで・・・つまり、「手元に残る遺産を増やす」ことを考えるのであれば、他の非課税制度(生命保険金の非課税など)や生前贈与などの活用を検討したほうがよいでしょう。
ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏