ごえんをつなぐコラム

【DX】みんなの困りごとの話① ~ 営業DXは名刺管理システムから ~

DATE25.11.18

皆様、こんにちは。資格の学校TACで、DX経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(実践編)を担当している、中小企業診断士・ITコーディネータの木佐谷康です。

今回から、中小企業がDXを進める際に相談の多い困りごとについて、業務や業種別に見ていきます。シリーズ第1回のテーマは、多くの企業に共通する業務の一つである、営業の困りごとです。

中小企業あるある:見積や案件情報は個人PCの中

顧客との商談状況や案件の進捗が担当者しか把握できないという悩みは、多くの企業でよく耳にします。顧客に提出する見積書は、営業担当ごとにExcelで作成しており、個人のPCに保存されているという企業も多いです。

現在DX推進のお手伝いをしている卸売業の企業で見積に関する業務フローを確認したところ、以下のような課題が見つかりました。

見積書の保存場所については、多くの部署・担当者が共有ストレージに保存していましたが、一部の部署では個人PCに保存されていました。また、見積書作成時の承認権限は、部署や担当者ごとに異なる運用になっており、一部の部署では見積書作成時には承認をとっておらず、受注時のみ上長の承認をとっているという状況でした。

見積や案件情報は、部門内で共有することで主担当者が不在の場合でも別の担当者がフォローでき、案件の進捗状況もある程度見えるようになります。また、見積時、受注時の承認権限を明確化し、全員がルールを守ることで、万が一のトラブル時に担当者が責任を問われることはなくなります。

上長の多忙や外出などで承認をもらうのに時間がかかるという理由で承認を嫌がる営業担当もいますが、そのような場合は販売管理システム等のワークフロー機能を利用することで回避できます。

営業DXは名刺管理システムから始めるのがオススメ

営業系のデジタル化を進める際によく検討のテーブルにのせられるのが、SFA(Sales Force Automation)やCRM(Customer Relation Management)です。SFAは、営業プロセスや案件のステータスなどの共有のために利用されることが多く、CRMは、顧客情報の一元管理が得意な製品が多いですが、両者の機能を併せ持つ製品もあります。

SFAを活用すれば、個々の顧客や案件ごとに商談の進捗が見える化されるため、上長や関係者が適切なタイミングでアドバイスできる点や、主担当者の不在時に別の担当者が対応できるなどのメリットがあります。CRMのメリットは、顧客への対応状況を一元管理することで、業務の効率化や顧客満足度の向上が図れることなどが挙げられます。

これらの営業系のデジタルツールを導入する際に気をつけたいのが、営業担当者の入力の手間です。特に、日常的に日報や商談内容などを記録していない場合は、せっかく導入しても「手間がかかる」「効果が見えない」などの理由で利用されなくなってしまうケースも多いです。DX支援の現場でも、SFAやCRMは利活用のハードルが高いツールの一つになると思います。

そのような状況に陥らないためにオススメなのが、名刺管理システムの導入からスタートするという手法です。SFAやCRMはいずれも、顧客に関する情報を一元管理するという目的で使われるため、顧客情報の基本となる名刺情報を一元管理することから始めます。

名刺管理システムを導入すれば、営業担当が外出時に名刺の束を持ち歩く必要は無くなり、上長や役員等のコンタクト履歴などに応じて営業戦略を練るということもできるため、利用する営業担当にもメリットが生まれます。

営業担当がデジタル化のメリットを理解したうえで、SFAやCRMを導入して利用促進を図るのが、営業DXの近道です。

 

DX経営アドバイザー講座講師
木佐谷 康

 

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