ごえんをつなぐコラム

【DX】みんなの困りごとの話④ ~ 法改正が経理DXの成長エンジン ~

DATE26.02.20

皆様、こんにちは。資格の学校TACで、DX経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(実践編)を担当している、中小企業診断士・ITコーディネータの木佐谷康です。

みんなの困りごとシリーズ第4回のテーマは、請求や支払など経理に関する困りごとです。

企業内のエッセンシャルワーカーだったコロナ禍の経理部

直訳で必要不可欠な労働者を意味するエッセンシャルワーカーは、社会基盤を支えるために必要不可欠な仕事に従事する労働者のことで、コロナ禍に社会基盤の維持のために感染リスクを負いながら現場で働く医療・福祉や物流などに従事する人たちが注目されました。

中小企業では、郵送で届く請求書のチェックや請求書の発送のために出社が強いられていた経理部が、一種のエッセンシャルワーカーだったと言えるでしょう。

紙ベースの経理業務を大きく変えるきっかけとなったのが、2024年1月から電子取引のデータ保存が義務化された改正電子帳簿保存法の施行です。

2023年12月までは、電子取引データの紙保存が認められていましたが、改正電子帳簿保存法施行後は電子データのまま保存することが義務付けられたほか、保存する際のタイムスタンプなどの要件も定められました

改正電子帳簿保存法によって一気に導入が進んだツールの一つが、請求書管理システムです。請求書管理システムは、請求書を入力・登録すると取引先の要望に合わせて電子や紙で発行してくれる発行側のシステムと、複数の取引先からの請求書を一元管理できる受取側のシステムの2つに分けられます。

多くのシステムが改正電子帳簿保存法のデータ保存要件に適合していることから、請求書の管理・保存を法改正に適合させる目的で検討を始めた中小企業も多かったです。

請求書の発行や受取がオンライン化できれば経理部のテレワークも可能になり、支払の承認などもワークフロー機能でデジタル化できるため、経理部のDX推進のきっかけづくりに貢献しました。

経費精算システムは三方よしのデジタルツール

経費精算システムも、改正電子帳簿保存法によって導入が加速したデジタルツールです。

かつては、紙の請求書を台紙に貼り、申請書とクリップでまとめて申請、承認を行っていた経費精算が、経費精算システムによりスマホだけで完結するようになりました。

これにより、担当者は経費精算のために出社する必要がなくなり、外出先からでもスマホで申請が完了するため手間が大きく減りました。

管理職も、部下の経費精算のハンコを押すために出社する必要がなくなり、いつでもどこでも承認できるようになりました。また、経理部では、乗換案内と連携すれば交通費のチェックが不要になるほか、申請書や請求書のファイリングも必要が無くなるので、事務作業の手間が大きく減りました。

担当者、管理職、経理部の三方にとってメリットが大きい経費精算システムは、ツールの導入によって効果を実感してもらいながらDXを進める、Small Start&Quick Winの発想にピッタリのデジタルツールの一つです。

経理DXの将来動向としては、やはりAIの活用がポイントになると思われます。

既に、クラウド会計ソフトや経費精算システムなどでは、AIを活用した自動仕訳の機能が実装されており、今後は、さらに戦略的な業務にAIが活用されることが期待されています。

現在でも数期分の財務諸表を生成AIに読み込ませれば、さまざまな経営指標が分析され、注意点や業界平均との比較なども指摘してくれます。

今後は、売上や入出金の傾向を分析したうえでの資金繰り表の作成や、請求データと入金データを基にした入金消込など、これまで一定の経験が必要とされてきた業務にもAIが活用されることで、迅速な経営判断を支援する分野でDXが進展すると考えられます。

 

DX経営アドバイザー講座講師
木佐谷 康

 

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