【DX】みんなの困りごとの話③ ~ 画像認識AIでリアルタイムに在庫を管理 ~
DATE26.01.15
皆様、こんにちは。資格の学校TACで、DX経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(実践編)を担当している、中小企業診断士・ITコーディネータの木佐谷康です。
みんなの困りごとシリーズ第3回のテーマは、調達や在庫管理に関する困りごとです。
原材料価格の高騰により、在庫が経営を圧迫
補助金や助成金の審査や企業診断で多くの企業の財務諸表を拝見する機会が多いのですが、この1~2年の特徴として目立つのが在庫金額の上昇です。
売上増加や事業拡大が要因となっている場合は大きな問題とはなりませんが、多くの経営者が課題として挙げるのが原材料価格の高騰です。円安や物流費の高騰など、さまざまな要因が影響して、ほとんどすべての原材料価格が高騰していると言っても過言ではありません。
在庫金額は抑えたい一方、在庫切れによる機会損失を防ぐためには「適正な」在庫を確保しておく必要があり、資材や購買の担当者の立場では過剰気味でも在庫は確保しておきたいというのが本音でしょう。
人手不足や従業員の高齢化などの理由で、仕入先からの調達リードタイムが長くなる傾向にある原材料があれば、「適正な」在庫を確保するのはいっそう難しくなります。
過剰在庫は、現金が形を変えた資産として固定化されてしまうため、資金繰りに悪影響を及ぼします。また、保管スペースや維持管理のコストも増加するため、経営にとっては大きなインパクトとなります。
また、調達・在庫管理をExcelに頼っている中小企業は依然として多く、業務面では以下のような弊害が起きます。
- 人的ミスの発生: 在庫の入出庫を手作業で記録する場合、数量の入力ミスや転記漏れが発生しやすく、正確な在庫情報を適切なタイミングで把握することが困難になります。
- 業務の属人化: 在庫管理が特定の担当者やベテラン社員の経験と勘に頼っている場合、その担当者が不在になると業務が滞り、情報が共有されなくなります。これは業務の非効率化を招くだけでなく、担当者の退職や異動が事業継続のリスクになりえます。
できる限りリアルタイムで入出庫を管理したい
在庫管理のポイントは、入出庫のタイミングで実在庫を把握できるかという点になります。以前にご支援した製造業の会社では、入出庫のタイミングでは記録しておらず、半期に1度2日間生産をとめて棚卸をしていました。
ほかにも、払い出し票やExcelなどで管理している企業も多く、記入漏れや入力ミスなどで帳簿上の在庫と実際の在庫に差異が生じ、定期的な棚卸によって数を合わせることが多いでしょう。
最近では、バーコードやQRコードをスマートフォンで読み取ることで入出庫が記録できる在庫管理ツールがリリースされており、月額数千円のコストで導入できるものもあるので、活用するとよいでしょう。部品の写真を登録して入出庫のミスを防ぐ機能や一定の在庫数を下回るとアラートが通知される発注点管理の機能を持つ製品もあり、ニーズに合わせて検討してください。
一方、入出庫の頻度が多い場合や製造・出荷のリードタイムが非常に短いケースなどでは、入出庫時にリアルタイムで記録することが難しいこともあります。そのような場合は、AIの画像認識を利用して部品や箱の数を数えてくれるアプリやツールを利用することで、棚卸の際の手間が減り、棚卸の頻度を上げることができます。
また、組み立てを中心とする製造業では、製品の製造に必要な部品や構成要素をまとめた部品表(BOM、Bill Of Materials)を正確に管理することで、1製品を製造するために必要な所要量や製品出荷後の理論上の在庫数を計算することができ、在庫管理の精度が向上します。
DX経営アドバイザー講座講師
木佐谷 康