ごえんをつなぐコラム

【相続】相続人の1人が行方不明、どうする?

DATE26.01.20

こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。

今回のテーマは、「相続人の1人が、行方不明の場合」です。

長男が、行方不明

父親が亡くなり、相続人は、母親と長男、長女の3人だとします。

しかし、長男とは数年前に縁が切れてしまい、今、どこでなにをしているのかまったく分からず、連絡が取れない状態だとします。

探しに探したが、まったく足取りがつかめず、行方不明状態だとしましょう。

このままでは、父親の遺産分けができません。

これはもう仕方ないからと、母親と長女だけで話し合って、分けてしまってもよいものなのでしょうか?

相続人全員の合意が、必要

結論から言えば、ダメです。

相続人の1人が行方不明だからといって、「仕方ない、他の相続人だけで話し合って分けよう」はダメなのです。

行方不明であっても、相続人である以上、相続権は認められているからです。

遺産分割協議には、相続人全員が参加しなければなりません。

相続人が1人でも欠けていると(相続人全員の合意がないと)、その遺産分割協議は無効となり、相続手続きは進まないのです。

つまり、預貯金の払戻しはできず、不動産は売れずと、非常に困った状態になってしまうのです。

しかし、行方不明の相続人が、どうしても見つからない・・・その場合、どうすれば良いのでしょうか?

行方不明者がいるときの、2つの方法

行方不明の相続人がいて、どうしても見つからない場合、以下の2つの方法があります。

1つは、「不在者財産管理人を選任する」こと。

もう1つ、これは長年、行方不明の場合ですが、「失踪宣告を申し立てる」ことです。

●不在者財産管理人を選任する

不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人のことです。

家庭裁判所の許可を得ることで、不在者財産管理人が、行方不明の相続人の代理人として、遺産分割協議に参加することができます。

これにより、相続手続きを進めることができるのです。

なお、不在者財産管理人の選任申立ては、行方不明者の(従来の)住所地の家庭裁判所に対して行います。

また、不在者財産管理人は、一般には(利害関係のない)親族から選任されることが多いようですが、弁護士などの専門家が選任されることもあります。

●失踪宣告を申し立てる

失踪宣告とは、一定期間、行方不明である人について、法律上、死亡したものとみなす制度です。

なお、失踪宣告には2種類(普通失踪・特別失踪(危難失踪))あり、失踪宣告の申立てができるのは、以下の期間が経過したときです。

・普通失踪:行方不明の状態(その理由は問わない)となってから、7年間経過

・特別失踪:戦争、船舶の沈没、震災などに遭遇して行方不明の状態となってから、1年間経過

なお、失踪宣告は、行方不明者の(従来の)住所地の家庭裁判所に申し立てします。

そして、失踪宣告が出されてから、普通失踪では行方不明になって7年間経過した時点で、特別失踪では危難が去った時点で死亡したものとして、相続手続きを進めることができるのです。

行方不明のままで、OKなことも

ちなみに、行方不明の相続人は放っておいて、他の相続人だけで、相続手続きを進めてもよいケースもあります。

それは、遺言書がある場合。

そして、その遺言書にて、連絡の取れる相続人だけに財産を相続させる旨が記載されているケースです。

遺言書があれば、「遺言書で指定された人が、遺産を受け継ぐ」ことになるので、相続人全員での遺産分割協議は必要ありません。

ですので、遺言書で指定された人だけで、相続手続きを進めていけばよいのです。

行方不明の相続人がいる場合、相続手続きにおいては、何かと大変です。

ですので、生前から、行方不明の相続人がいることが分かっていれば(相続手続きに苦労しそうだと分かっていれば)、後々のことを考えて、遺言書を作成しておくのも一考ですね。

 

ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏

 

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