【企業】悪魔の代理人
DATE26.03.05
皆様、こんにちは。資格の学校TACで、企業経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(担当:企業経営・生産管理)をしている、中小企業診断士の三枝元です。
会議の場では、同調圧力が生じ、反対意見を切り出しにくい雰囲気が生じます。しかし、同調圧力に任せてしまうと誤った意思決定となる恐れがあります。個人の場合と比べ、集団の意思決定はハイリスクに振れがちだとも言われます。そのような危険を避けるための工夫として、悪魔の代理人というものがあります。
悪魔の代理人とは?
悪魔の代理人とは、会議などで多数派の意見に対し、あえて批判や反論を行う役割を持つ人、またはその役割自体を指します。言葉の起源はカトリック教会で、聖人候補の欠点を指摘する役職に由来します。予め悪魔の代理人役を指名しておくことで次のような効果が得られます。
・同調圧力を防ぎ、率直な意見を引き出すことで、意思決定の質を高める。
・意見への盲目的な賛成を防ぎ、問題点やリスクを浮き彫りにする。
・あえて異なる立場から物事を考えることで、新しい視点や発想を生み出す。
悪魔の代理人の例
悪魔の代理人の例としては、次のようなものがあります。
・Google(2000年代):新製品やアルゴリズムのレビュー時、意図的に反対意見を担当する「Designated Devil’s Advocate(指定の悪魔役)」を置いた。
・NASA(1986年チャレンジャー号事故後):技術的決定の会議で、安全担当者が必ず悪魔の代理人役を務める仕組みを導入した。必ず反論・リスク提起を行う役職を配置した。
・P&G:製品開発の意思決定では、反対意見書を義務付けた。主任開発者以外に“悪魔の代理人”が意図的に反論メモを提出し、上層部が両方を読んで判断することにした。
・ボーイング:大型プロジェクトで、意思決定チームとは別に、Red Team(悪魔の代理人チーム)を結成した。目的:提案・設計・安全計画の抜けを意図的に攻撃的視点から検証する。
・ユニリーバ:新戦略提案の際に、他部署の幹部が悪魔の代理人として「チャレンジセッション」を行う。戦略を潰すことが目的ではなく、見落としを洗い出すのが目的である。
反対意見がなければ決議しない
批判的な意見を尊重する組織風土も重要です。これについては、ゼネラル・モーターズ(GM)を築いたアルフレッド・スローンの逸話が有名です。 アルフレッド・スローンは、会議で全員の意見が一致した際、以下のように述べたとされています。
「この決定に関しては、意見が完全に一致していると了解してよろしいか」
(反応がないことを確認した後)
「それでは問題を理解するための時間が必要と思われるので、いつものように、次回さらに検討することにしたい」
リーダーにとって、反対意見は大事だとは認識しながら耳が痛く、受け入れがたいものです。そうであれば、最初から自ら反対意見役を置いてしまうのも1つの工夫だと思います。
企業経営アドバイザー検定試験講座講師
三枝 元