ごえんをつなぐコラム

【年金】国民年金には「保険」がつかないのに、厚生年金には「保険」がつく理由

DATE26.03.13

こんにちは。ファイナンシャルプランナーの横川由理です。今回のテーマは、年金制度における「保険」としての考え方についてです。

年金制度の正式名称をご存じでしょうか。多くの方は「国民年金」「厚生年金」と呼んでいますが、厚生年金の正式名称は 「厚生年金保険」と呼びます。

では、ここで素朴な疑問が浮かびます。なぜ、国民年金には「保険」という言葉がつかないのに、厚生年金には「保険」がつくのでしょうか。

保険とは、保険料を払った結果、給付を受ける制度

一般的に「保険」は、保険料を支払うことで、一定の要件に当てはまったときに給付を受けるしくみを指します。生命保険や医療保険を思い浮かべると分かりやすいでしょう。たとえば、医療保険に加入した。保険料を支払った。入院したので、入院給付金を受け取った。といった具合です。反対に保険料を払っていなければ、給付金を受け取ることはできません。

この考え方が 厚生年金保険です。会社員や公務員は給与から保険料を支払い、その保険料をもとに将来の年金が計算されます。つまり、保険料と給付の関係がはっきりしているため、制度の名称にも 保険 という言葉が使われているのです。

国民年金は「保険料を払わなくても給付される場合」がある

一方、国民年金には厚生年金保険と、少し異なる特徴があります。それは、保険料を払っていない人でも給付を受けられるケースがあるという点です。

代表的なのが 「障害基礎年金 」です。障害年金の申請では、一般的に保険料の納付要件が問われます。しかし実は「納付要件が問われない」という例外的なケースも存在します。

具体的には、障害の原因となった病気やケガの初診日が20歳到達前にあり、年金制度に未加入だったケースです。この場合、20歳前はまだ国民年金の加入義務がないため、保険料の納付要件が問われないようになっています。つまり、保険料を払っていなくても障害年金が支給される可能性があるのです。

国民年金は、純粋な「保険」だけではなく、社会保障としての性格が強い制度だといえるでしょう。こうした理由から、制度名も 「国民年金」 となっており、「保険」という言葉は使われていません。

年金は「仕組み」を知ると見え方が変わる

年金制度は複雑だといわれますが、このように制度の名前の意味から考えてみると、意外と理解が深まるのではないでしょうか。「なぜ、保険という言葉がついていたり、ついてなかったりするのだろう?」

年金を学ぶと、こうした「名前の違い」にも意味があることがわかります。そんな疑問を一つひとつ紐解いていくことで、年金制度の全体像が見えてくるでしょう。年金を理解することは、自分の老後だけでなく、社会のしくみを知ることにもつながります。

 

ファイナンシャルプランナー
横川 由理

 

一覧に戻る