【DX】みんなの困りごとの話⑨ ~ データの3Tを意識する ~
DATE26.07.17
皆様、こんにちは。資格の学校TACで、DX経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(実践編)を担当している、中小企業診断士・ITコーディネータの木佐谷康です。
みんなの困りごとシリーズ第9回のテーマは、データ分析や連携に関する困りごとです。
データの3Tは、ためる、つなげる、つかう
DXというと、ITツールやシステムの導入そのものだと誤解している人もいます。確かに、ITツールやシステムを導入することで、効率化や生産性向上が図れ、DXのゴールである「稼ぐ力と自己変革力の向上」につながるケースもあるでしょう。
一方、多くの中小企業の現場では、紙やFAXなどのアナログ的な業務が数多く残っていたり、一部の業務のデジタル化に限定されているためExcelが業務システムの足りない部分を補っていたりするというケースは少なくありません。
そのような中小企業でDXを支援する際には、データの3Tを意識するようにお願いしています。データの3Tとは、ためる、つなげる、つかうの3点です。
アナログ的な業務が多い場合、紙やPDF、Excelなどに情報が散在しており、有効に活用できる状態で蓄積されていません。従って、「ためる」意識を強く持って、デジタルデータとして蓄積・保存できる状態を最初に構築します。
データが活用できる状態で蓄積できれば、次は「つなげる」ステップです。複数の業務システムが導入されている場合やExcelが利用されているケースなどでは、データがうまくつながらないことが多いです。
例えば、販売管理システムと会計システムのデータが連携されていない、同じ顧客の受発注と導入設備のデータが別々で管理されていないなど、多くの中小企業でデータがつながっていない状態になっています。
データが蓄積され、連携されていけば、最後の「つかう」というステップに入ることができ、戦略的なデータ活用が実現できます。カスタム製品の製造が得意な企業のDX戦略を検討した際に、以下のようなステップで戦略を組み立てました。
① ためる:アナログだった図面や検査記録をデジタル化する
② つなげる:見積、設計、製造、品質管理などで蓄積するデータを連携させる
③ つかう:顧客の業種や業務内容に応じてカスタム製品を分類し、営業の提案や引合の際に過去の事例を基に見積や図面を作成する
①ためる、②つなげるのステップでは効率化や生産性向上が主な目的になるケースが多いですが、③つかう段階になると、戦略的なIT活用に発展していきます。
データの連携や分析はノウハウの共有や技術伝承にも活かせる
データを蓄積して連携、分析できるようになると、ノウハウの共有や技術伝承にもデータを活用できるようになります。
前述のカスタム製品の製造業を例にすると、これまでは顧客からカスタム品の引き合いがあった場合、営業や設計担当の経験と知識の中から過去の似たような製品の見積や図面を探して見積書や図面を作成していました。
各担当の頭の中に依存するため、全社横断的なデータ活用ができず、同社で紙の図面を電子化する際にチェックしたところ、似たような図面が何枚も確認されるなど、ノウハウが共有されていませんでした。
カスタム製品のデータがつながる状態になれば、顧客の業種や業務内容に応じて過去の全社の事例を検索して必要なスペックを提案したり、顧客の仮図面に似た図面を画像検索して同様の製品の設計や製造時の注意点や検査記録などを基に設計・製造したりすることが可能になります。
データ連携やデータ分析という課題が挙げられると、EAI(Enterprise Application Integration)やETL(Extract, Transform and Load)といったデータ連携ツールや、BI(Business Intelligence)と呼ばれるデータ分析ツールの検討を始める方もいらっしゃいますが、ITツールを検討する前にデータの3Tを意識することが重要です。
DX経営アドバイザー講座講師
木佐谷 康