ごえんをつなぐコラム

四格を育む㉙

令和2年度の年金額改定等について

DATE20.02.27

みなさま、こんにちは。社会保険労務士の原田 悠太郎です。

令和2年1月24日に、令和2年度の年金額改定等について厚生労働省より発表がありました。結論から申し上げますと、「令和2年度の年金額は、法律の規定により、令和元年度から 0.2%プラスで改定されます」とのことで、年金額は増えることになります。

 

<国民年金の老齢基礎年金(年額)>

令和2年度 781,700円(令和元年度は780,100円)

なお、厚生年金についてもそれぞれの年金額に対して同様の改定が行われます。

 

年金を減らされたと嘆く人がいる中で、プラス改定となったのは良いことですね。1人にとっては微々たる金額かもしれませんが、年金受給者の人数を考えると、財政支出が大きく増えるということですから、国単位で見ると大変なことですよね。

 

令和2年度の国民年金保険料も改定となり、プラス改定とされました。

 

<国民年金保険料(月額)>

令和2年度 16,540円(令和元年度は16,410円)

 

国民年金保険料は増額となりましたので、被保険者の立場からいえばあまり芳しい話とはいえません。しかし、令和元年度より、第1号被保険者への産前産後期間の保険料免除制度が施行されたこともありますから、そういう意味では被保険者の立場に立った増額を行ったことも含め、致し方ない増額といえるのではないでしょうか。少なくとも、年金というと高齢者福祉という面が色濃くみられる中で、少子化に貢献した第1号被保険者に対して手厚い制度を整備することは素晴らしいことですよね。

 

最近話題となっている、在職老齢年金の支給停止調整変更額等については、令和元年度から

変更なしとされています。

60歳台前半の支給停止調整開始額:28万円

60歳台前半の支給停止調整変更額:47万円

60歳台後半及び70歳以降の支給停止調整額:47万円

 

在職老齢年金については、「年金が支給停止となるのはおかしい!」などという不満の声が上がっているようで、その点については法改正の動きが見えているようですが、令和2年度については法改正が行われなかったため、従来通りの取扱いとなります。

 

個人的には、在職老齢年金の制度については存続派ですので、法改正が行われなかったことに安堵しています。在職老齢年金の支給停止の仕組みを撤廃、または緩和としてしまうと、年金としての支出が増えることとなり、年金の財布をより一層逼迫させることになりますよね。在職老齢年金撤廃派の方と、一度意見交換をしてみたいものです。

 

これらの改定等は令和2年度から行われることとなりますので、受給者の方にとっては4月に支給される分からではなく、4月分・5月分として6月に支給される分から改定が行われます。保険料については納期限が5月末とされるものから改定が行われます。

 

年金額増額改定が公告されると、年度またぎすぐの4月の年金支給日に、「年金額が増えていない!」との相談で年金事務所が混み合うという噂を聞いたことがありますが、実際の改定後の年金額に基づく支給は、前述の通り6月支給分からになりますので、じっくりと楽しみに待つことにしましょう。

 

社会保険労務士

原田 悠太郎

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