ごえんをつなぐコラム

110万円以内の贈与なら、大丈夫なのか?

DATE21.05.21

こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。

今回テーマは、「定期贈与」です。

 

【年間110万円までは大丈夫】

贈与を受けた場合には、贈与税がかかります。

ただし、1年間に受けた贈与の合計が110万円以内であれば贈与税はかかりませんし、申告も不要です。

これは、贈与税(原則である暦年課税)の計算では、受贈者1名につき、年間110万円の基礎控除額が、贈与財産から差し引かれるからです。

なので、毎年100万円を10年間にわたって贈与しても、贈与税はかかりません。

 

【定期贈与と見なされてしまうと、ガツンと贈与税がかかってくる!】

しかし、それが定期贈与と見なされてしまうと、話は違ってきます。

定期贈与とは、定期的に、一定金額を贈与することを決めて、毎年贈与することです。

あらかじめ10年間にわたって毎年贈与することを受贈者との間で約束している場合には、その約束をした年に、定期的に給付を受ける権利を贈与されたものとして贈与税がかかります。

 

定期贈与では、複数年に分けて贈与することとしていても、その約束をした時点で将来の給付を受ける権利を贈与したものとされます。

ですので、「毎年100万円を10年間にわたって贈与」の定期贈与を約束した場合は、いっときに900万円近い贈与を受けたとされます。

※課税価格は、将来の定期的な給付を一定の利率で現在価値に割り戻した金額となります。
仮に900万円の贈与となると、なんと147万円(※)もの贈与税がかかってくるのです。
※贈与年の1月1日時点で20歳以上の者が、その父母や祖父母から贈与を受けた場合

 

【定期贈与と見なされないためには・・・】

贈与税0円と思ったら、147万円もかかってくる…これは厳しいですよね。

贈与税対策として、せっかくコツコツと贈与を続けると決めても、それが定期贈与となれば意味がなくなるのですから……。

それでは、複数年にわたっての贈与を考えている場合、定期贈与と見なされないためには、どうすればいいのでしょうか?

 

それは、毎年、贈与契約書を作ることです。

贈与のたびに、金額や内容をしっかり示した贈与契約書を作ることで、毎年の贈与の証拠をハッキリと残すことができます。

これで贈与の都度、贈与契約の合意をしたということになるので、(初めから、定期的に贈与を受ける契約である)定期贈与と見なされにくくなります。

 

これにより、毎年の贈与(1回毎の贈与)が課税対象となり、そして、それが基礎控除額110万円以下であれば、贈与税はかかりません。

ちなみに、あえて110万円を少しオーバーさせて、贈与税を支払うのも、贈与の証拠をよりハッキリさせるので有効な手段と言えます。

申告・納税の手間は少しかかってしまいますが、仮に年間111万円の贈与であれば、贈与税額は1,000円で済むので、一考の余地はあるでしょう。

 

ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏

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