ごえんをつなぐコラム

【企業】テーマ2:企業の会計不祥事の組織的な背景

DATE26.06.05

皆様、こんにちは。資格の学校TACで、企業経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(担当:企業経営・生産管理)をしている、中小企業診断士の三枝元です。今回は、「企業の会計不祥事の組織的な背景」について述べたいと思います。

■望ましい組織の状態

心理的安全(組織内で、自分の意見や疑問を安心して表明できる状態)という言葉が一般的に定着しました。これが高い組織では、メンバーが積極的に情報共有や提案を行うため、問題の早期発見やイノベーションにつながりやすく、逆に低い組織では、失敗を恐れて発言を控える「萎縮」が起こり、ミスの隠蔽やコミュニケーション不足を招くと言われます。

組織の状態を、「仕事の基準の高低」と「心理的安全の高低」の2つの軸に分けたとき、以下の4つに分類されます。

無気力ゾーン:発言もしにくく、期待も低いため、受け身で活力が乏しい状態。
不安ゾーン:厳しい成果要求はあるが、失敗や発言を恐れて萎縮しやすい状態。
快適ゾーン:人間関係は良好だが、緊張感や挑戦が不足し、成長しにくい状態。
学習ゾーン:安心して意見を出しつつ、高い目標にも挑戦できる状態。

組織として望ましいのは、学習ゾーンの状態です。「心理的安全が高い=みんな仲良し」というイメージがありますが、それは快適ゾーンに当たり、これでは、時には建設的な対立が生じるような率直な意見交換にはつながりません。

■ストレッチ目標とは?

一方、ストレッチ目標という言葉があります。これは、「現状よりかなり背伸びをしないと実現できないような高い目標」のことです。
極めて達成が困難であり,実現するためには社員の挑戦意欲を引き出すとされます。

しかし、このストレッチ目標の運用について、しばしば誤解が見られます。ストレッチ目標が有効であるためには、「組織内でスラック(余力)資源があること」が条件になります。

ストレッチ目標の実現には従来の方法の見直しと試行錯誤が不可欠で、リスクも高いです。そのため、これを許容できる余力が求められます。余力があれば失敗しても立て直す意欲が生まれます。一方、余剰資源が乏しければ失敗は許されず、無難だが安易な策に流れ、ストレッチ目標の達成は困難となります。

「社員にストレッチ目標達成の強いプレッシャーがあり、成果を上げるまでの時間的な余裕がない場合」や「心理的な安全(社員からすれば余裕に当たる)が確保されていない場合」、先の「不安ゾーン」に陥り萎縮するだけです。さらに、プレッシャーから逃れるべく、安易な策にすがることになります。企業の会計不祥事には、このような組織的な背景があるのです。

 

企業経営アドバイザー検定試験講座講師
三枝 元

 

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