【相続】相続税の物納、5つのポイント
DATE26.07.21
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。
今回テーマは、相続税の物納です。
物納のハードルは高い
相続税の納付は、金銭一括納付が原則です。
しかし、金銭一括納付を困難とする事由があり、かつ、諸々の要件を満たしたときに限り、延納(分割での納付)が認められます。そして、その延納によっても納付が困難であるとき、そこで初めて、物納(物による納付)が認められるのです。
つまり、相続税物納のハードルは高く、決して一般的な制度ではありません。
さらに言えば、そもそも、相続税の課税対象となる人はかなり限られているので(相続全体の1割程度)、現時点では、相続税の物納と直接関わってくるような人はごく少数でしょう。
とはいえ、将来の(社会的・個人的)状況の変化により、誰しも、物納と関わってくる可能性は否定できません。
そこで今回は、ぜひ知っておくべき、物納のポイントを5つ挙げてみたいと思います。
①元々持っていた財産は、物納できない
物納できる財産は、「納付すべき相続税額の課税価格計算の基礎となった相続財産」であること、すなわち、その相続や遺贈によって手に入れた財産に限られます。
ですので、その人が元々持っていた財産、すなわち、その人の固有財産を、都合良く物納に充てることはできません。
②物納できる財産には、優先順位がある
相続や遺贈によって手に入れた財産が複数ある場合に、「これを物納したい」と、自由に選べるわけではありません。
物納できる財産には、以下のとおり優先順位が決まっています。
第1順位:不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等
第2順位:非上場株式等
第3順位:動産
つまり、上場株式と非上場株式を相続して、非上場株式のほうを物納したくても、まずは上場株式のほうから申請しないといけないわけです。
なお、いずれの財産についても、その所在が日本国内にあることが条件となっています。
③物納できない財産は、けっこう多い
不動産や株式については、「担保に入っている」「権利の帰属について係争中」であるものは、管理処分不適格財産として、物納することはできません(申請しても通りません)。国としても、管理や処分に困るような財産を受け取っても困るだけですからね。
上記以外にも、境界が明らかでない土地や耐用年数を経過している建物、譲渡制限株式など多くのケースが挙げられますが、最終的には、国が管理や処分に困ると認定すれば、それは管理処分不適格財産とみなされます。
そして、その基準は年々厳しくなっていて、以前と比べて、物納のハードルはより上がっていると言われています。
実際、物納の申請件数は、20年程前には1,000件を超えていましたが、ここ数年は100件を大幅に下回る水準で推移しています。
④物納財産の見積もりは、時価ではない
物納する財産の評価額、つまり、物納にあたって「いくらで見積もってもらえるか」については、原則として、納付すべき相続税額の課税価格計算の基礎となった価額です。
つまり、相続税計算における評価額での見積もりですね。
ですので、その評価額が、時価よりもかなり低い場合には、気を付けなければいけません。
たとえば時価1,000万円の財産でも、その評価額が200万円であれば、物納においては200万円分の相続税額にしかならないのですから。とくに、物納財産が自宅の敷地などで、小規模宅地等の評価減の特例(評価額が8割or5割減額)を利用した場合などは要注意です。
そのような場合には物納ではなく、その財産を売却して(換金して)、その金銭で納付することも検討したいものです。
⑤物納できるのは、相続税だけ
物納制度が認められているのは、相続税のみです。
ですので、所得税や住民税、贈与税など、他の税金については、必ず「金銭」で納付することが義務付けられています。
ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏