ごえんをつなぐコラム

【相続】20年連れ添った配偶者への、超優遇措置とは?

DATE22.05.23

こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。

今回のテーマは、20年以上連れ添った配偶者に対する、贈与税の優遇措置についてです。

 

【お手軽、かつ、大きな効果が見込める制度】

自分が死んだあとは、自宅は配偶者に遺したい・・・と考える人は多いかと思いますが、相続人や遺産の内容によっては、必ずしも希望どおりの遺産分割がなされるとは限りません。

その点、自宅を配偶者に生前贈与しておけば安心でしょう。

ただ、自宅の贈与となると、かなりの贈与税がかかってくる可能性があります。

そこで、配偶者に自宅を贈与するときに活用したいのが、比較的お手軽に適用できて、非常に大きな効果が見込める、「贈与税の配偶者控除」という制度です。

 

【最大2,110万円の非課税枠】

まず、この制度の「非常に大きな効果」としては、2,000万円の非課税枠が挙げられます。

そしてこの非課税枠は、贈与税の基礎控除である110万円とは別枠で利用できるので、合計で最大2110万円までの非課税枠となるのです。すなわち、この制度によって贈与する自宅の評価額が2,110万円以下であれば、贈与税は一切かからないのです。

しかも、この制度による贈与財産は、生前贈与加算(相続開始前3年以内の贈与財産は、相続財産に加算される)」の対象になりません。

さらに、2019年7月1日以降は、原則として特別受益(相続時に持戻しとなる(あらためて遺産分割対象となる)生前贈与財産)」から外れることとなったので、贈与する側もされる側も安心なのです。

 

【3つの適用要件とは?】

次に、この制度が「お手軽に適用」できる点については、適用要件のハードルが低いことが挙げられます。

その適用要件は、以下のとおりです(3つの要件をすべて満たす必要がある)。

婚姻期間が20年以上の夫婦間での贈与であること

・その贈与財産が、居住用不動産であること、または居住用不動産を取得するための金銭であること

贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与された居住用不動産、または贈与された金銭で取得した居住

用不動産に、贈与を受けた者が住んでいること(そして、その後も引き続き住む見込みであること)

この制度の大きな特徴でもある「婚姻期間20年以上」については、そのハードルが高いか低いかの判断は分かれるところかもしれませんが、決して特別・特殊な条件ではないはずですね。少なくとも、婚姻期間20年以上の夫婦はたくさんいるわけです。

 

【同じ相手からは、一生に一回のみ】

この制度は別名「おしどり贈与」とも呼ばれており、20年以上連れ添った夫婦であれば、大いに検討の余地はあるかと思われます。

ただし、同じ配偶者からの贈与は、一生に一回しか適用を受けることができないので注意しましょう。

しかしこれは言い換えれば、再婚して新しい配偶者から贈与を受けるのであれば、要件さえ満たせば、再びこの制度を適用することはできるわけです。

とは言え、「婚姻期間が20年以上」との要件があるので、一生のうちに何回も、この制度を適用して贈与を受けることは難しいと思われますが、、、。

ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏

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