ごえんをつなぐコラム

【企業経営】商品開発のアイデアの探り方(顧客の潜在意識を探る)

DATE24.01.31

皆様、こんにちは。資格の学校TACで、企業経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(担当:企業経営・生産管理)をしている、中小企業診断士の三枝元です。

 

一般的に商品開発を行う際に、ユーザーにヒアリングしてアイデアを探るということが行われています。これはこれで有効ではありますが、出てくるアイデアは改善レベルのものでしかありません。ユーザーからのアイデアが、他社と差別化できるような画期的な新商品開発に直接的につながることはめったにありません。また、顧客が本音を言うとも限りません。

今回は3回に分けて、商品開発のアイデアの探り方について考えてみたいと思います。

 

■米軍の兵士たちが牛乳を飲んだ理由

次の質問の回答を考えてみてください。

Q1:今から約80年前、アメリカ人で牛乳を最も飲んだのは、アメリカ軍の兵士たちであった。その理由は?

おそらく多くの方は、「体力をつけて敵を倒すため」「健康を維持するため」と考えたのではないでしょうか。しかし、本当の理由は、「遠く離れた故郷や家庭・家族を思い出せるから」でした。おそらく実際に彼らに質問したとしても、皆様が考えたような答えをしたでしょう。勇気を示す場で、とてもホームシックに罹っているとは言えないからです。

 

Q2:1940年代後半以降、さまざまなインスタント・ミックス粉が発売されたが、なぜかただ水を加えるだけのケーキミックスは売れなかった。味には問題がないのになぜ売れなかったのか?

答えは、あまりに手軽すぎて母親たちが「自分が手抜きをしている」と認めたくも、子や夫に認められたくもなかったし、できたケーキが「自分のもの」という感覚が持てなかったからです。おそらく何が不満か尋ねても、そのような複雑な本音はなかなか吐露しにくかったのではないでしょうか。

 

■顧客の潜在意識を探る

人の意識には顕在意識潜在意識があります。このうち潜在意識が占める割合は95%とも言われています。

 

「この商品に何か不満がありますか?」「この商品がこうなったらいいなと思うポイントはありますか?」といった質問で答えられる情報は、被験者の顕在意識にもとづくものです。すでに気がついているから答えられるものです。しかしながらこうした情報は、新たな用途や価値の提案に結びつくことはあまりありません。なぜなら、被験者である一般ユーザーはあくまでユーザーの視点しか持ち合わせていなく、「値段を安くして欲しい」「使い勝手を良くして欲しい」といったありきたりな答えしか出てこないからです。

 

これまでにない新たな用途や価値につながる情報を得るためには、顧客の潜在意識を探る必要があります。そのために必要なことは、「顧客に聞く」のではなく「開発者側が気づく」という姿勢です。

 

企業経営アドバイザー検定試験講座講師
三枝 元

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