ごえんをつなぐコラム

四格を育む①

アイスランドに学ぶ人材育成~ワールドカップから

DATE18.08.24

サッカーW杯は7月16日(日)、フランス対クロアチアの決勝戦でフランスが2度目の優勝を果たして幕を閉じた。決勝戦まで勿論日本代表の出場する試合も真剣に観戦し、沢山の試合が感動の連続であったが、中でも最も印象に残った代表チームがある。人口34万人という、出場した32カ国中、最も人口が少ない国アイスランドの代表チームだ。このチームは、欧州予選I組1位で本戦出場を決める(同組クロアチアは2位でプレーオフを経て本戦出場)という、近年強豪の仲間入りをしてきた。(FIFAランキング22位)

残念ながら決勝トーナメント(ベスト16)に進めなかったが、グループステージ初戦では強豪アルゼンチンと1対1で引き分け勝ち点1を確保した。このゲーム前半終了時点のスコアは1対1。NHKで解説をしておられた元日本代表監督の岡田武史さんは、前半終了時点で現地から「まさにアイスランドのプライドを持った、魂のこもったプレーが伝わってくる試合です。」とコメントされていた。テレビ中継でも十分にアイスランドの気迫が伝わってくる素晴らしい試合だった。

では、何故ここまでアイスランドが躍進を遂げられたのか。その要因は、「育成」にあるという。しかもそれは指導者の育成という点だ。企業や組織が発展するには、人材育成が言うまでも無く必要不可欠だが、指導者育成という点では注目に値する。結果を出すためには選手そのものの強化育成が大前提だが、指導者育成という点でアイスランドでは過去20年にわたって投資が行なわれ、その結果、UEFA(欧州サッカー連盟)が認定する資格を持ったトップクラスの多数の指導者から育成年代の子供たちが指導を受けることができたのだという。育成される側からすると、少ない人口であることが、逆に優秀な指導を受ける機会の拡大に繋がっている。また、UEFA認定資格を持った指導者は、単に“能力”を持っているだけではなく、教える技術と熱意も兼ね備えているとのことである。

私たちがこれからの20年を考える時、アイスランド代表の例から学ぶことが多いのではないだろうか。現に名目GDPでは230億ドルとW杯出場国中31位だが、国の成長度合いを示す国民一人当たりGDPは59,629ドルとスイスに次いでは第2位(日本は38,883ドルで第9位)である。企業や組織の生き残りのために、指導者の育成というものが注目され、それが根付いていった時には、沢山のビジネスパーソンのプライドを持った、魂のこもった仕事が伝わってくる沢山のビジネスシーンに出会えることになるのではないだろうか。

一般社団法人日本金融人材育成協会理事
飯田 勝之

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