「オマハの賢人」ウォーレン・バフェットの教え
DATE19.08.08
皆様、こんにちは。少しご無沙汰しております。資格の学校TACで、企業経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(担当:企業経営・生産管理)をしている、中小企業診断士の三枝元です。
皆さんはウォーレン・バフェットをご存知でしょうか。米Forbes(フォーブス)の2019年の長者ランキングで第3位の資産家です(純資産825億ドル)。投資会社バークシャー・ハサウェイの筆頭株主であり、同社の会長兼CEOを務めています。質素な生活と相まって、敬愛の念を込めて「オマハの賢人」と呼ばれています。バフェットは自己宣伝的な自伝や指南書はまったく書かない人ですが、講演やインタビューなどを通じてウイットが効いた多くの名言を残しています。
「事業の多角化は、無知を隠す1つの手段である。」
特に成熟産業の企業が、苦し紛れに新規事業を始めると大抵は失敗します。安易な新規事業は既存事業の失敗を認めているようなものだということはよく認識したいところです。
「リスクとは、自分が何をやっているか、よくわからない時に起こるものだ。」
本当は決めないといけないのに、リスクと称して決められない(決めない)のは、逃げ口上にすぎません。リスクの原因を作っているのは、自分かも知れません。
「予測が教えてくれることは、未来のことではなく、むしろ予測者のことである。」
テレビの識者の主張や、営業マンの売り込みには、多くの場合、背後に自分の利益(ポジションやメンツ、金銭的な見返り)があります。相手の行動の背景を知った上で判断しましょう。
「地下鉄で通勤している連中の助言を、ロールスロイスで乗りつけてきた連中が有難く拝聴するような場所は、ウォール街以外には存在しない。」
上と同趣旨です。それほど有難い助言なら、なぜ証券マンは全員金持ちになれないのでしょうか?彼らは「顧客を儲けさせること」が仕事ではなく、「金融商品や情報を売ること」が仕事なのです。
「ビジネススクールでは単純な行動を取るより、複雑で困難な行動をとったほうがお褒めにあずかれる。しかし、効果が高いのは前者である。」
やたらデータを持ち出して説明したり、ビジネス理論を大上段に話をする人は要注意です。データや理論に酔っています。シンプルな疑問をぶつけてみましょう。
「リーダーから発せられた業務上の要望は、たとえいかに愚劣なものであろうと、取り巻き達が用意したデータによって、すばやく支持される。」
リーダーが心得ておきたい言葉です。周りがイエスマンだけでは正しい意思決定はできません。あえて反対の意見を言わせる段階を意思決定の過程に組み入れましょう。
「歴史書が成功へのカギだと言うのなら、フォーブス400社はすべて図書館司書で占められることになるだろう。」
実践から得られた知恵が大事ということですね。
「習慣という名の鎖は、抜け出せないほど重くなるまでは、軽すぎて存在を感じることができない。」
単に「これまでそうしてきたから」というだけでやっていることが多い気がします。本当に必要なことか考え、無駄なことはさっさとやめましょう。
「名声を打ち立てるには一生かかるが、台無しにするには5分とかからない。」
あまりにお粗末な失態で、キャリアを台無しにする著名人は後を立ちませんね。有名になると気が緩むのでしょうか。私たちも気をつけたいところです。
「トラブルから抜け出すよりも、トラブルを避ける方が簡単だ。」
トラブルの多くは事前のプランニングのまずさが原因です。プランニングの手間を省いてしまいがちですが、後の混乱の対処の苦痛と比べれば大したことではありません。
なにか気になるものはあったでしょうか。さすが「オマハの賢人」だけあって、一つ一つ重みがありますね。一代で巨額の財を成したバフェットの姿勢をひと言でいうならば、「周りの意見に惑わされるな。最後は自分で考えよ。」ということでしょうか。
もちろん普段からバフェットのように振舞うのはなかなか大変ですが、人生の節目節目は周りに流されるのではなく自分の意思で行動したいものですね。
中小企業診断士
三枝 元
【参考】
「ウォーレン・バフェット 成功の名語録」桑原晃弥著 PHP研究所
「バフェットの教訓―逆風の時でもお金を増やす125の知恵」メアリー バフェット、デビッド クラーク著 徳間書店