ごえんをつなぐコラム

四格を育む㉖

「部下を育てる」「自分が育つ」ために上手く経験を活かす

DATE20.01.08

皆様、こんにちは。資格の学校TACで、企業経営アドバイザーの対策講座講師(担当:企業経営・生産管理)をしている、中小企業診断士の三枝元です。

今回は「部下を育てる」「自分が育つ」ための経験の活かし方について取り上げます。

 

■リーダーになるための7・2・1の法則

 

7・2・1の法則とは、「経験7割、薫陶2割、研修・読書1割」という人材育成の法則のことです。

 

米国の人事コンサルタント会社ロミンガー社の創業者マイケル・M・ロンバルドとロバート・W・アイチンガーが、経営幹部としてリーダーシップをうまく発揮できるようになった人たちに「どのような出来事や機会が役立ったか」を調査しました。

 

その結果、「各自が自分の仕事経験を通じて職業能力を開発する機会」がもっとも多く、続いて、「上位者や先輩などから仕事上の体験を話してもらったり、観察したり真似したりして学習する機会」が2割あり、「読書や研修などの教育機会を通じた学習」が1割を占めました。

 

管理職にかかわらず、ビジネスパーソンには何らかの形でリーダーシップを発揮することが求められます。よきリーダーになるためのキャリア形成の指針となるのが7・2・1の法則です。また、7・2・1の法則は経験の重要さを示すものですが、これはリーダーを目指す場合に限らず、キャリア形成全体に言えることです。

 

 

■育成に優れた上司の特徴

 

人材育成における経験の重要性を唱える松尾睦教授(神戸大学)によれば、育成に優れた上司の特徴は次の6つになります。

 

〇ビジョン明確化

自分が楽しそうに仕事をし、努力をしている姿を行動で示した上で、部下に将来のビジョンを主体的に持ってもらう。

 

〇目標のストレッチ

レベルの違う目標をバランスよく立てさせ、部下本人の能力よりも少し高い目標を立てさせる。

 

〇相談・進捗確認

進捗を報告させる時間をとり、普段から相談しやすい雰囲気を作ることで、

問題を抱え込まないようにする。

 

〇自分で考えることを促進

最大限本人に考えさせ、納得させ、自分で解決できるようになってもらう。

 

〇ポジティブ・フィードバック

問題点を指摘しても、プロセスの中でよかった点を見つけてほめたり、普段の仕事で成長した点を伝える。

 

〇原因分析と改善策の策定

成功・失敗の原因を考えてもらい、どうすれば出来るようになるか、より合理的な方法がなかったかを考えさせる。

 

一方、部下が自分の成長のために取り組めることは、次のようになります。

 

・将来なりたい自分を描く

・現状に甘んじず適度に挑戦的な目標を掲げる

・良き相談相手や同じ目標を持つ仲間をつくる

・こまめに上司や先輩に自分の仕事のやり方の良い点・悪い点を評価してもらい、アド

バイスを得る

・成功や失敗の原因を自分でよく考え、次に活かす

 

 

■研修や読書の重要性

 

さて、キャリア形成の要因で「研修・読書」が1割しかないというと、研修や読書は必要ないと考えてしまうかもしれません。しかしこれは誤解です。

 

経験から得た知識を体系的に定着させる、あるいは自分の経験からだけでは得られない別の視点や知識を獲得するためには、研修や読書は大変重要です。また事前に研修や読書によって知識があったほうが、経験で得たことをより適切に解釈することができます。

 

新しい年になり、みなさんもビジネススクールの受講やビジネス読書を取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

中小企業診断士

三枝 元

 

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