ごえんをつなぐコラム

【企業経営】きちんと因果関係を把握するための3つの条件

DATE22.02.04

皆様、こんにちは。資格の学校TACで、企業経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(担当:企業経営・生産管理)をしている、中小企業診断士の三枝元です。

何か問題が生じた場合には、その原因を探らなければ解決策を考えることはできません。また、原因を突き止めることで将来の出来事の予測が可能になります。

しかしながら誤った因果関係を思い描いてしまうことも少なくありません。今回は、適切な因果関係の把握のための条件について取り上げます。

 

■因果関係の3条件

出来事Xと出来事Yとの間に因果関係(Yの原因はXである)が成立するためには、次の3つを満たす必要があります。

①共変の原則

もしXがYの原因であるならば、XとYは共に変化しなければならない。

②時間的順序関係

もしXがYの原因であるならば、XがYより時間的に先に起こっていなければならない。

③他の原因の排除

XがYの原因と考えられ、さらにX以外にYの原因を合理的に説明できるものが何もない場合にのみ、XがYの原因と認められる。

 

■因果関係がおかしな主張

次の主張が妥当なのか考えてみてください。

畳の数(住宅の広さを畳に換算)が多いほど子供の数も多い。1人当たりの畳の数が12.9畳とトップの富山は、1世帯(世帯主が49歳以下)当たりの子供(未成年)の数も2.3人と最も多かった。全国的にもある程度の相関が見られる。住宅が広いほど子供を産むようになるので、子供の数を増やすためには住宅の面積を広げなくてはならない。」

まず、地方の方が大都市より出生率が高く、親からの子育て支援の援助も多い傾向にあります。また、子供の数を増やせないと考える要因の1つに、子供にかかる教育費がありますが、地方の方が、塾などの学校外教育費をかけていないという調査結果があります。

つまり、親からの子育て援助も多く受けられ、教育費の負担感も少ないため、地方は「子供が多い」のであって、「子供が多い」理由は「住宅の広さ」だけではないでしょう。

そして、単に子供が多くなったから引っ越して広い家に住むようになったのであって、家が広いから子供が多くなったわけではないでしょう。

この場合、「他の原因の排除」も「時間的順序関係」も満たしてはいないのです。

 

■経営の常識も疑ってみる

経営に関する常識といわれているものにも因果関係が疑わしいものがあります。

「ブランド価値が高い企業は業績がよい(だからブランド価値を高めるべきだ)」

「従業員のモチベーションが高い企業ほど業績がよい(だから従業員のモチベーションを高めるべきだ)」

「環境問題に熱心な企業ほど業績がよい(だから環境問題に取り組むべきだ)」

 

これらはすべて時間的順序関係を満たしていない可能性があります。

企業のブランド価値が高いことに越したことはありません。しかしブランド価値の向上は一朝一夕でできることではなく、顧客から長い間支持され続けなければ不可能です。すなわち、「ブランド価値が高いから業績がよい」というよりは、「長い間業績がよいからブランド価値が高い」ということでしょう。

普通、業績がよい企業ほど従業員に張り合いが生まれモチベーションが高いでしょう。従業員のモチベーションが高ければ企業業績がよくなる効果は否定しませんが、業績がよいからモチベーションが高くなるという効果も考慮する必要があるでしょう。

環境経営にはコストがかかります。よって余裕のない企業が環境経営にシフトすることは簡単なことではありません。業績がよいから環境問題に取り組めるともいえるのではないでしょうか。

読者の方々も上辺だけで因果関係を描いてしまうと判断を誤ります。因果関係の3条件を意識して正しく因果関係を把握して意思決定の質を高めていただければと思います。

 

企業経営アドバイザー検定試験講座講師
三枝 元

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