ごえんをつなぐコラム

【相続】配偶者の連れ子に、財産を遺せるのか?

DATE23.04.21

こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。

今回テーマは、「配偶者の連れ子」です。

 

【配偶者の連れ子は、相続人ではない】

結論から言えば、何も対策をしないと、配偶者の連れ子には、財産を遺すことはできません。なぜなら、配偶者の連れ子は相続人ではなく、相続権はないからです。血はつながっていないものの、我が子同様に可愛がっており、はたから見れば「親子」でも法律上は親子ではないのです。

 

【財産を遺すためには】

したがって、配偶者の連れ子に財産を遺すためには、何らかの対策が必要となります。その対策とは、基本的には「養子縁組」もしくは「遺贈」です。

 

・養子縁組

配偶者の連れ子を養子にすることで、法律上、その連れ子は「子」の立場となります。そして、「子」は血族第1順位の相続人ですから、配偶者とともに相続人となり財産を引き継ぐことができるわけです。その場合、「子」の法定相続分は2分の1となります。

もっとも、法定相続分はあくまでも目安であって、実際には遺言や遺産分割協議によって相続割合は決まるのですが。

・遺贈

遺贈とは、遺言によって財産を与えることを言います。すなわち、「配偶者の連れ子に財産を与える」旨を記載した遺言書を作成することで、その連れ子に財産を遺すことができます。ちなみに、「どの財産を」「どれくらい」与えるかは自由です。

そして、原則として、その遺言による遺産分割(指定分割)が法定相続分に優先されることとなります。

上記以外にも、生命保険を活用して「配偶者の連れ子を保険金受取人とする」ことによっても、財産を遺すことができます。また、生前贈与も、連れ子に財産を遺すための一つの対策ですね。

このように、連れ子に財産を遺すためには様々な方法があるとはいえ、何もしなければ、連れ子に財産を遺すことはできないのです。

 

【自身の立場を、意識しよう】

さて、ここまでは自身が「配偶者の連れ子に財産を遺す」との立場で解説しましたが、自身が「連れ子」の立場であってもその理屈は同じです。

つまり親が再婚した場合、何も対策をしないと、その再婚相手の財産を受け継ぐことはできないということです。その再婚相手の財産を受け継ぐには、やはり「養子縁組」もしくは「遺贈」が必要だということです。または、自身が保険金受取人となったり、生前贈与を受けたりする必要があるわけです。

もっとも、親の再婚相手にそれらの対策を講じてもらえるかどうかは、自身の状況や再婚相手との関係性など、様々な要素が絡んでくるわけですが。

いずれにせよ、再婚相手の財産を受け継ぐことができるか否かで、自身の人生は大きく変わってくるわけですから、これは知っておくべき大切な知識ですね。

また、自身が「連れ子を連れて再婚した」との立場でも、これは知っておかねばいけない知識でしょう。実際のところ、子供のために財産を確保してあげられるかどうかは、親の力(知識や行動力)が大きいわけですからね。

 

今回のテーマに限らず、相続に関する知識については、自身をどの立場に置くかによってかなり印象が変わってくるのではないでしょうか。そして、より自分事として捉えることができれば、イメージもしやすく理解もスムーズでしょう。

その意味では、できるだけ今の自身の立場(もしくは、将来的に置かれる可能性の高い立場)で捉えるに心がけたいものですね。

ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏

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