ごえんをつなぐコラム

【企業経営】楽観主義と悲観主義②

DATE25.05.02

皆様、こんにちは。資格の学校TACで、企業経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(担当:企業経営・生産管理)をしている、中小企業診断士の三枝元です。

前回に続き、ポジティブな人が本当によいパフォーマンスをあげるのか検証したいと思います。

前回、「悪いことがあったときに、それを一時的とみなし、限定的にとらえ、自分を責めない」という楽観的な姿勢によって物事に粘り強くあたることができるとしました。

防衛的悲観主義者が最もパフォーマンスが高い

 悲観的よりも楽観的なほうが良いのは、感覚的にも理解しやすいでしょう。しかしながら、楽観的ならそれでよいのかというと疑問を感じる方もいるでしょう。

やたら自信満々だったり脳天気だったりして、人の注意を聞かず、同じようなミスばかり繰り返してしまうようなタイプの人もいるでしょう。ミスにめげないという点ではポジティブなわけですが、常にポジティブな人が上手くいくとは限りません。その一方で、ネガティブで不安が強いのに成果を出している人もいます。

 

ノレムとキャンターは、過去のパフォーマンスに対する認知将来のパフォーマンスに対する期待の2軸から、方略的楽観主義者(過去:楽観的、将来:楽観的)、非現実的楽観主義者(過去:悲観的、将来:楽観的)、防衛的悲観主義者(過去:楽観的、将来:悲観的)、一般的悲観主義者(過去:悲観的、将来:悲観的)の4つに分類し、この中で防衛的悲観主義者が結果的には最も上手くいくと指摘しています。

防衛的悲観主義者とは、過去のパフォーマンスに対してポジティブな認知を持つが、将来のパフォーマンスに対してはネガティブな期待を持つタイプです。仕事を任せると上手くこなすし、本人にも自覚があるのですが、いざ新しいことを任せられると上手くいくかどうか非常に不安になるタイプです。

これから起こることに対しては徹底的にネガティブに考え、「最悪な事態」をあらゆる角度から悲観的に想像しては不安になるわけですが、その不安を解消すべく用意周到に準備し、全力で仕事をすることで上手く乗り切るというわけです。

 根拠のない楽観主義は余計なお節介になる

ノレムとキャンターによれば、防衛的悲観主義者は、悲観的なままのほうがよく、変に楽観的になるとかえってパフォーマンスが落ちてしまいます。不安を解消すべく用意周到に準備し、全力で仕事をすることで上手く乗り切るというタイプですから、変に不安を解消してあげると余計なお節介になりかねません。

それよりも、防衛的悲観主義者には準備の不安を解消してあげることが有効です。どんな準備をすれば上手くいくかに焦点をあててアドバイスするという姿勢が望まれます。

 

【参考】
榎本博明『モチベーションの新法則』日本経済新聞出版社

    

 

企業経営アドバイザー検定試験講座講師
三枝 元

 

 

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