【相続】高騰するビットコインの相続
DATE25.07.23
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。
今回のテーマは、「ビットコイン(暗号資産)の相続」です。
乱高下を繰り返し、高騰するビットコイン
つい先日、1ビットコインは過去最高値の1800万円を突破、そして現在も1700万円台の高値圏で推移しています(2025年7月中旬執筆時点)。
世間でビットコインが注目され始め、そして私自身も興味を持ち始めたのは、8年程前だったと記憶していますが、当時は1ビットコイン20~30万円程度でした(そのとき買わなかったことを大いに悔やんでおります)。
その値動きは、激しく乱高下を繰り返すも、長期的な値上がりを期待して保有している人も多いかと思います。
相続財産としてのビットコインの評価は?
さて、そんなビットコイン(※)ですが、これは現金や不動産、株式等と同じく、立派な相続財産です。
※ビットコインだけでなく、イーサリアムやライトコインなどの暗号資産含む
ビットコインは目には見えない、実体のない資産ではありますが、容易に日本円に換金することができますからね。
そして、その相続財産としての評価額は、相続発生時の時価となります。
ちなみに、上場株式等の場合、その評価額は「相続発生時の終値」「相続発生時の月の終値平均」「相続発生時の前月の終値平均」「相続発生時の前々月の終値平均」の中から最も低い価格となるので有利(相続発生時の時価よりも低くなる可能性が高い)なのですが、ビットコインにはそのような特例はありません。
ですので、今、これだけビットコインが高騰する中で、その評価額が相当高額となるケースも少なくないでしょう。
相続して、すぐに売るケースも・・・
しかし、ビットコインの値動きは非常に激しいので、相続時から、急落する可能性もあります。
極端な話、相続時には1ビットコイン1800万円だったのが、数ヵ月後の相続税を支払う時点では1000万円以下、なんなら500万円を切っている可能性も十分に考えられるわけです。だとしても相続税は、相続発生時の1800万円の評価額で計算されるのです。
そのような場合、状況によっては、相続税の支払いは相当厳しくなることも考えられますね。
そんな相続税支払いの不安から、ビットコインを相続したら、すぐに売ってしまう人も多いでしょう。
また、相続税の支払いに不安はなくても、そんな値動きの激しい資産を持っているのはしんどいとの理由から、すぐに売ってしまうことも考えられます。
ビットコインの売却には、所得税・住民税がかかる
そんな売却の際に、儲けが出れば、所得税・住民税がかかります。
儲けとは「売却額-取得費」ですが、その取得費は相続時の時価ではなく、亡くなった人の取得費を引き継ぐことになります。
ですので、もし、故人が相当安いとき(それこそ1ビットコイン20万円程度のときなど)に買っていたならば)、その取得費はかなり低くなります。その場合、相続人がビットコインを売った際には相当な「儲け」が発生し、かなりの所得税・住民税を負担する可能性があるのです。
ちなみに、相続した財産が不動産や株式等であれば、一定要件を満たせば「取得費加算の特例(支払った相続税額の一部を取得費に加算できる)によって、その売却にかかる所得税・住民税はかなり減額されることもありますが、ビットコインではその特例も使えません。
110%もの税率がかかることも!?
さらに言えば、株式等の売却益に対する税金は「譲渡所得」として分離課税となり、どれだけ儲かっても一律20・315%の税率なのですが、ビットコインの売却益は「雑所得」として総合課税となり、その儲けが大きくなるほど税率は上がり、最高で55%もの税率となるのです。
ちなみに、相続税の最高税率も55%です。
世間では、「ビットコイン(暗号資産)を相続したら、110%(=55%+55%)の税金がかかることもある」とも言われますが、それは、このような理由からなのです。
もっともこれは、故人が数万円程度で購入したビットコインを数億円分相続したような場合など、かなりレアなケースではありますが、知っておいて損はないですね。
ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏