【相続】サザエさんの相続権は、誰が引き継ぐ?
DATE25.08.26
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。
今回のテーマは、「欠格・廃除の代襲相続」です。
波平さんの、相続人は?
突然ですが、波平さんが亡くなったとします。
その場合、その相続人は、フネ(妻)、サザエ(長女)、カツオ(長男)、ワカメ(二女)の4人となります。
ちなみに、(サザエさんの夫である)マスオさんは、波平さんの相続人ではありません。
※今回コラムは、国民的漫画である「サザエさん」をご存じとの前提で書いております。
サザエさんの相続権は、タラちゃんに
さて、ここで、こんなケースを想定してみましょう。
それは、波平さんが亡くなる前に、すでにサザエさんが亡くなっていたというケースです。
その場合、サザエさんの子供であるタラちゃんが、サザエさんの相続権を引き継ぐことになります。
このように、相続人(サザエさん)が、被相続人(波平さん)より先に亡くなっている場合、その相続人の子(タラちゃん)が、その相続権を引き継ぐことを、代襲相続と言います。
代襲相続できるのは、死亡時だけではない
ちなみに、相続開始前に、相続人が亡くなっている場合だけでなく、相続人が欠格や廃除といった理由で相続権を失っている場合にも、代襲相続は発生します。
たとえば、「サザエが波平を殺害した」「サザエが波平を脅して遺言書を書かせた」といった理由で、サザエさんが相続権を失っている場合(欠格)や、「サザエが日常的に波平を虐待していた」などの理由で、(波平が家庭裁判所に請求して)サザエさんの相続権を失わせた場合(廃除)にも、タラちゃんは、サザエさんの相続権を引き継ぐことができるのです。
殺害や虐待によって失った相続権が、引き継がれることにモヤモヤ・・・
ところで先日、とあるセミナーにて、そんな代襲相続についての説明をしました。
そしてセミナー終了後、こんな質問を受けました。
それは、「相続人がすでに死亡していて、その相続権が、相続人の子に引き継がれることについては分かります。でも、相続人が欠格や廃除によって相続権を失った場合でも、その相続権が引き継がれることには、ちょっとモヤモヤします…」というものでした。
これは、冒頭のサザエさんの例で言い換えると、「サザエさんがすでに死亡していて、その相続権がタラちゃんに引き継がれることには納得だが、サザエさんが波平さんを殺害したり、虐待したことで失った相続権が引き継がれることは納得いかない」ということですね。
タラちゃんには、罪はない
なるほど、そのモヤモヤ(納得いかない感)について、心情的には分からないでもありません。
でも、タラちゃんには罪はないですよね。
そして民法では、代襲相続の要因として、「死亡」「欠格」「廃除」とハッキリ記載されているわけですから、そこは割り切って、代襲相続のルールとして覚えるしかないですね。
なお、相続放棄については、代襲相続は発生しないので要注意です。
相続放棄をすると、「最初から相続人とはならなかった」とみなされるので、そもそも、引き継がれる相続権そのものがないということです。
ちなみに、サザエさんが相続放棄をすると、波平さんの相続人は、(サザエさんは除かれて)フネ、カツオ、ワカメの3人となります。
ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏